次世代DVDはどっち?2006/04/10 15:37

企業にとって時代の主流、波、に乗る事は基本中の基本であるが、波が大きくなる前、主流になる前の小さい波が複数ある場合、どの波に乗るのかという判断は難しそうだ、具体的なもののひとつに”規格”があり、多くの場合、確定する前に様々な規格が林立し主導権争いが起こる。複数の規格のそれぞれの陣営の核となるのは発明(開発)メーカーで、そこに関係会社、主要取引先という側近と、社命を掛け一発勝負に出た中小企業などの取り巻きが付く。

実際の規格バトルで記憶に残った例は家庭用ビデオデッキの規格”ベータ対VHS”、バトルの結果を見ると、質の良し悪しでは無く、いかに浸透(シェア拡大)させるかが勝負どころのようである。

最近パソコンの世界でじんわりと起こりつつある規格バトルがある。次世代DVD規格である。具体的には"Blu-ray Disc(以下BD)"対"High-Definition(以下HD)"、前者はソニー&松下陣営、後者は東芝&NEC陣営、という日本を代表するメーカー同士によるガチンコぶり。双方共にいかに優れているかを主張しているワケだが、一般消費者向けの製品についてはVTRの例にもあるように、性能では無いところがポイント、

とは言え性能ってどんなのかな?という事で判りやすいところでデータ容量を見てみよう。BDの27GB(1層)/54GB(2層)に対し、HDの15GB(1層)/30GB(2層)これだけだとBDが有利そうだが実際にどう使うのかがピンと来ないので良し悪しの程度が判らない、因みに、次世代DVDってのはデジタル放送の録画やら、映画ソフトなどをより高画質で楽しむ、なんて人達へのものらしいが、今のとこ縁の無いジャンルなのでさらにピンと来なくて、せいぜいパソコンのバックアップを取るにはどっちかな、という程度。

細かく見ると、塗布層の薄さやら専門的な細かいスペックに相違があるようだが、適正なスペックが判らない、例えば・・家から500m離れた最寄駅に行く手段を選ぶ時に、徒歩で行くのか自転車で行くのかって話しなのか、20インチの自転車で行くか、21インチの自転車で行くかって話しなのか、それともフェラーリかポルシェかって話しなのか・・。もしジャンボジェットかF15かって話しなのであれば、その違いは歴然とは言え、500mの距離という前提をすれば全く不要
という判断となる。

自らが主張する規格が正規なものとなれば開発元、提唱元は主導権が握れる上に、開発関係の特許等でとんでも無く儲かるものと思われる。激しい争いではなかったように思うが少し前はデジカメのメモリーの規格、というのもあった。スマートメディアからはじまり、CF、SD等、いくつかの規格が湧き、どうやらコンパクトカメラにはSD、一眼レフにはCF、という形で落ち着いたように見える。

両陣営の顔ぶれを見てみると興味深いのはSONYの存在、かつてのVTR規格の時は惨敗、デジカメのメモリーでは独自のメモリースティックを展開し微妙な存在に。今回は盟友に松下を巻き込んでいるが、松下はVTRではVHSに乗って勝ったものの、光学メディアではPDでSONYのメモステと同等の微妙な事になっていた経緯がある。

詳しい経過は知らないが、現在のDVDの規格を定めたのがDVDフォーラムという国際規格団体で、次期DVDの規格としてそこで認証されたのはHD-DVDらしい。つまり、正当に後継を認められたHDと、認められずに独自に歩む事になったBD、という形とも言える。

因みに近々発売となる富士通のデスクトップの光学ドライブにはBDが乗るらしいが、同時に発売になるノートにはHDが乗るらしい。ノートとデスクトップで使い分けとなるのかな、という伏線を感じつつも。どちらに乗るか決めかねているメーカの窮余の策とも見て取れる。


ブルーレイジャパン
http://www.blu-ray.jp/

HD-DVDプロモーショングループ
http://www.hddvdprg.com/jpn/